新著 Cultural Stereotype and Its Hazards: “Japanese Collectivism” as a Case が、11月28日に、ケンブリッジ大学出版局から、ヨーロッパと北米で発売されることになりました。
ここ4年ほどのあいだ私は、この本の執筆・製作に全力を注いできました。この本では、「日本人 = 集団主義」説がいかに現実とかけ離れているかを実証した上で、そこで得られた知見を踏まえて、文化ステレオタイプ一般について、その歪みと危険性を明らかにしました。
この本のテーマは、日本語で出版した『「集団主義」という錯覚 』(2008年)や『日本人論の危険なあやまち』(2019年)と基本的には同じですが、これらの本が読者として一般の読書人も想定していたのに対し、今回の本は読者として研究者(大学院生を含む)だけを想定しています。
しかし、社会心理学者だけを対象にしているわけではなく、文化の問題に関心をもっている様々な分野の研究者(人類学者、社会学者、政治学者など)にも、抵抗なく読んでもらえるように書き方を工夫しました。議論の内容も、心理学だけではなく、文化人類学、経済学、歴史学など、さまざまな分野に渡っており、この本に推薦文を寄せてくださったカリフォルニア大学の David Funder 教授も、ニューヨーク大学の James Uleman 教授も、異口同音にこの本を wide-ranging と評しています。