光学の論文を読んでいて、メビウスの輪をつかった面白い動画がウィキペディアに載っていることを知りました。
https://en.wikipedia.org/wiki/File:Fiddler_crab_mobius_strip.gif
メビウスの輪は、よく知られているように、長方形の紙を一度ひねってから端と端を貼り合わせて輪にしたものです。元の紙には表と裏の2つの面がありますが、メビウスの輪にはひと続きの面しかありません。
ひねらずに端と端を貼り合わせた普通の輪なら、表の面のある地点からスタートしてその地点に戻ってくるまで、表の面しか通りません。裏の面を通るためには、どこかで紙の端を横切って裏側にまわらなければなりません。ところが、メビウスの輪の場合は、ある地点からスタートすると、その地点に戻ってくるまでに、自然に全ての面を通ることになります。端を横切って裏側にまわる必要はありません。
上記の動画では、このメビウスの輪の上をシオマネキの絵が移動していきます。ハサミの片方だけが異様に大きい蟹です。スタート地点で大バサミが右側にあったとすると、メビウスの輪を1周してスタート地点に戻ったときには、いつのまにか大バサミは左側にきています。もう1周してスタート地点に戻ると、大バサミはまた右側にきています。これが何度でも繰り返される、という動画です。
右にあったはずの大バサミが左、また右、という具合に入れ替わるので、左右の区別が曖昧になったような不思議な印象を受けます。「これぞ、メビウスの輪の神秘!」?
...に見えますが、実は、どこにも神秘的なところはありません。この動画にはトリックがあって、それがいわば「目の錯覚」を生じさせているのです。では、どういうトリックなのか? それについては、また後日。