放送大学で録画収録(2019年10月)

放送大学で私が制作した番組「認知心理学」(全15回)は、2019年3月で放送期間(6年)が終了しました。しかし、「アーカイブス」の1番組として、BS231チャンネルで2020年1月から再放送されることになりました。これまでは、放送大学の学生が登録をして試験を受けると、単位をもらえるという番組でしたが、「アーカイブス」の場合は、試験もありませんし、単位をもらえるということもありません。「生涯学習」のために、「どなたでも、自由に視聴してください」という番組になります。

「アーカイブス」での再放送は、全15回を3回ずつまとめて、第1集から第5集まで、5回に分けて行います。それぞれ、最初に短い対談が入ることになっているので、その収録のために、23日に幕張の放送大学に行ってきました。ずっと雨や曇が続いていましたが、この日だけはピンポイントで晴れました。収録では、放送大学の森津太子先生と対談をさせていただきました。

第3集から第5集までの3回の対談では、「認知心理学」収録時の裏話をしました。興味がおありの方は、どうぞお楽しみに。

森先生をはじめ、放送大学のスタッフの方々のおかげで、たいへん楽しく収録を終えることができました。改めてお礼を申し上げます。

新著『日本人論の危険なあやまち』を刊行(2019年10月)

『日本人論の危険なあやまち ― 文化ステレオタイプの誘惑と罠』(ディスカヴァー携書)が10月19日に刊行されました。

「日本人は集団主義、アメリカ人は個人主義」という日本人論の通説は誤りだ、ということを立証した本です。その点では、前著『「集団主義」という錯覚』(新曜社 2008年)と変わりないのですが、前著を刊行して以来、この問題については、私自身、理解が深まり、視野も広がりました。実証的な日米比較研究も次々に発表されてきました(これについては、英語の論文に詳しく記しました)。そうした新しい研究成果を取り入れ、構想を根本から練り直した上で執筆したのが、今回の新著です。

とはいっても、新書版なので、あまり専門的な議論は入っていません。また、「できれば、高校生にも読んでもらいたい」と思ったので、すらすら読み進められる文章になるよう、何十回となく推敲を重ねました。ルビも多めに振りました。

これまでの経験から考えて、「日本人は集団主義」という先入観が頭にこびりついている人に、その先入観を改めてもらうのは至難の技です。そこで、「まだ先入観に汚染されていない高校生に読んでもらえれば」という願望が生じたわけです。

以前、大学入試センター試験の試験監督をするために、都内のある高校に行ったときのことです。図書室が待合室になっていたのですが、書棚を見ていた同僚が、「高野の本があるぞ」と教えてくれました。『傾いた図形の謎』(東京大学出版会)でした。そんなことが記憶にあったので、「高校生にも読んでもらえるかもしれない」と思った次第です。

この本の執筆中は、幾つもの苦難が重なって、極度のストレスのもとで原稿を書き進めることになりました。「ストレスは脳を萎縮させる」という話に実感が湧いたほどでした。それでも、「何とか納得のできる水準に仕上げることができた」というのが本人の感懐です。

インタビュー記事の掲載 @『ダイヤモンド・クォータリー』 (2019年3月)

ダイヤモンド社が発行し、企業のエグゼクティブに配布している季刊誌『ダイヤモンド・クォータリー』の SPRING 2019 号に、私のインタビューが「“日本人は集団主義” という大いなる幻想」というタイトルで掲載されました。

経済界には「日本人 = 集団主義」説が広く根を張っています。多くの人が「日本的経営」や「日本株式会社」が「事実」だと考えているようです。日米貿易摩擦の最中、「年功賃金」「系列取引」「非関税障壁」などに対するアメリカからの非難が、毎日のようにマスメディアで報じられたせいかもしれません。

このインタビューでは、集団主義に関する実証的な日米比較研究や、「日本的経営」に関する小池和男氏の実証的研究、「系列」に関する三輪芳朗氏とマーク・ラムザイヤー氏の実証的研究などにもとづいて、「日本人 = 集団主義」説は事実無根であることを説明しました。

インタビューといっても、私の話がそのまま活字になっているわけではなく、私の話に加えて、拙著『「集団主義」という錯覚』などをもとに、編集長が執筆してくださったものです。とはいえ、編集長は、『「集団主義」という錯覚』を2回も読んでくださったそうで、私の意図は的確に伝えられているのではないかと思います。

招待講演 (電子情報通信学会総合大会) (2019年3月)

2019年3月19日、早稲田大学理工学部のキャンパスを会場として開催された電子情報通信学会総合大会において、招待講演を行いました。

「日本人は、日本語の欠陥のせいで、科学的な思考力がアメリカ人より劣っている」と主張したアメリカの言語心理学者の研究について、その実験の誤りを明らかにした私自身の研究を紹介しました。ずいぶん前に行なった研究ですが、日本人にとっては見過ごせないテーマなので、かなり関心を持っていただけたようでした。最後に、言語相対性仮説に関する最近の研究動向も簡単に紹介しました。

佐良木昌先生が企画された「異なる言語間における認知的機序の差異 ―― 翻訳学と認知諸科学との接点を探る」というセッションでした。

『ダイヤモンド・クォータリー』のインタビュー(2018年12月)

ダイヤモンド社が企業のエグゼクティブに配布している雑誌『ダイヤモンド・クォータリー』のインタビューを受けました。「日本人 = 集団主義」説が事実とは異なるというお話をした上で、主に経済やビジネスと関連する質問にお答えしました。このインタビューは、3月に刊行される雑誌に掲載されるということです。

誌上討論の回答論文を掲載 @ Asian Journal of Social Psychology (2018年11月)

誌上討論の回答論文が AJSP(Asian Journal of Social Psychology)に掲載されました。先に、「日本人 = 集団主義」説を検証する総説論文を AJSP に投稿し、その電子版が掲載されていました(2018年6月)。この総説論文は、「この通説は実証的研究によって支持されていない」と結論していました。この総説論文に、4編の論評論文が寄せられ、私たち(Takano & Osaka)は、それに対する回答論文を書きました。元の総説論文、論評論文、回答論文が併せて AJSP の第21巻第4号に掲載されました。4編の論評論文は、いずれも、「通説は妥当ではない」という点で私たちと見解を同じくしていました。心理学では30年あまりに渡ってこの通説が固く信じられてきたことを思えば、これは驚くべきことです。

 

『現代ビジネス』(講談社)に「英語を使うとき、確かに頭が悪くなる~『外国語副作用』を立証する」と題する記事を掲載(2018年8月)

講談社のオンライン・マガジン『現代ビジネス』に、外国語副作用に関する2番目の記事を掲載しました。前回の記事では、外国語副作用という現象がなぜ起こるのかを説明しましたが、今回の記事では、外国語副作用が本当に起こることを示した実験について説明をしました。「外国語として英語を使っているときには、外国語副作用による思考力の低下は、ドイツ人より日本人の方が大きくなる」という実験結果も紹介しました。

 

日本文藝家協会の「トークサロン」で講演(2018年6月)

日本文藝家協会から依頼を受け、「文藝トークサロン」において、日本人論の通説である「日本人 = 集団主義」説を批判的に検討する講演を行いました。拙著『「集団主義」という錯覚』(新曜社 2008年)にもとづいて、この本では紹介しなかった実験や最新のデータなども織り交ぜて話を進めました。(2018年6月22日)

『児童心理学の進歩』(金子書房)に「『日本人』 ― 語られてきたことと実証されたこと」 と題する書評を掲載(2018年6月)

『児童心理学の進歩』(金子書房)からの依頼で、山祐嗣著『日本人は論理的に考えることが本当に苦手なのか』(新曜社)をめぐる「書評シンポジウム」の一環として、「『日本人』  ―  語られてきたことと実証されてきたこと」と題する書評を書きましたが、これを掲載した『児童心理学の進歩(2018年版)』が6月30日付で発行されました。この書評シンポジウムの参加者は、原著の著者である山祐嗣氏(大阪市立大学)と高野のほか、福澤一吉(早稲田大学)、竹村幸祐(滋賀大学)、内藤美加(上越教育大学)の各氏でした。

 

『現代ビジネス』(講談社)に「英語を使うとき、あなたは頭が悪くなる ~ <外国語副作用>という難題」 と題する記事を掲載 (2018年6月)

講談社のネット雑誌『現代ビジネス』に依頼されて、「英語を使うとき、あなたは頭が悪くなる  ~  <外国語副作用>という難題」 と題する記事を執筆し、この記事が6月5日に公開されました。外国語副作用、および、それが生じる理由を一般読者向けに記した記事です。

この記事は、下記のURLをクリックすれば、無料で閲覧することができます。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55679

 

学研で社員向け講演「創造的思考」(2018年4月)

学研において、社員向けに「創造的思考 ― そのイメージと心理学から見た実態」と題する講演をおこないました。「創造的思考」に関して、「拡散的思考と収束的思考」「天才」「孵化と啓示」など、多くの人が抱いているイメージを取り上げ、実証的な研究がそのイメージとは異なる現実を明らかにしてきたという話をして、最後に活発な質疑応答をおこないました。